【1月書籍化&コミカライズ配信中!】今宵、この口づけで貴方様を――
第一章 黒百合家
パリーーーーーンッ!!
甲高い音とともに床に散らばる鋭い鏡の破片。
愕然とした顔で、割れてしまった手鏡に無言で視線を落とす和葉。
その隣で、眉間にしわを寄せて不愉快極まりない表情を浮かべるのは和葉の双子の妹、乙葉。
「あ〜あ、割れちゃった。お姉ちゃんがぶつかってくるから〜」
まるで汚いものを扱うかのように、乙葉は下駄の先でちょこんと鏡の破片を蹴飛ばす。
和葉がぶつかってきたと話す乙葉だが、実際にぶつかってきたのは乙葉のほうだった。
午前中に両親と買い物に出かけた乙葉は、宝石のついたかわいらしい指輪を買ってもらった。
それを右手の薬指にはめ、見とれながら歩いていたところ和葉にぶつかり、その拍子に和葉が帯に入れていた手鏡が床に落ちて割れたのだ。
「大きな音がしたけど…何事!?」
甲高い音とともに床に散らばる鋭い鏡の破片。
愕然とした顔で、割れてしまった手鏡に無言で視線を落とす和葉。
その隣で、眉間にしわを寄せて不愉快極まりない表情を浮かべるのは和葉の双子の妹、乙葉。
「あ〜あ、割れちゃった。お姉ちゃんがぶつかってくるから〜」
まるで汚いものを扱うかのように、乙葉は下駄の先でちょこんと鏡の破片を蹴飛ばす。
和葉がぶつかってきたと話す乙葉だが、実際にぶつかってきたのは乙葉のほうだった。
午前中に両親と買い物に出かけた乙葉は、宝石のついたかわいらしい指輪を買ってもらった。
それを右手の薬指にはめ、見とれながら歩いていたところ和葉にぶつかり、その拍子に和葉が帯に入れていた手鏡が床に落ちて割れたのだ。
「大きな音がしたけど…何事!?」