【1月書籍化&コミカライズ配信中!】今宵、この口づけで貴方様を――
つまり、人間では体がもたないような、あやかしにしか使えない呪術も中には存在する。


「膨大な妖術など欲していなかったが、俺が和葉と出会うことができたのは、あやかしであったからこそ」

「そういえば先程…、わたしがこの世に生まれるずっとずっと昔からとおっしゃっていましたが、あれはどういう…」

「その話をするには、まずはお前にかけられている負の呪術を解いてからにしよう」


玻玖に頭をなでられ、和葉は思い出した。

心当たりがない分、まったく見当がつかない。


「和葉は気づいていないようだが、おそらく長い時間をかけて少しずつ術をかけられていたと思われる」

「…そんな。それも…お父様が……?」

「ああ、高度な負の呪術だからな」

「その呪術とは…一体」

「術の名は『言ノ葉ノ術(ことのはのじゅつ)』。その名のとおり、言葉で相手の精神を乗っ取り、支配する術だ」
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