【1月書籍化&コミカライズ配信中!】今宵、この口づけで貴方様を――
頭を抱えて塞ぎ込む和葉。

すぐさま、玻玖が抱き寄せる。


「…大丈夫だ、和葉!その痛み、すぐに取り除いてやる」


玻玖は和葉の頭をなでるように、青白い光をまとった手のひらを近づける。

すると、頭が割れるほどの痛みが徐々に和らいでいく。


和葉に『言ノ葉ノ術』がかけられていると悟った日から、玻玖は和葉とともに月を見るときはいつも頭をなでていた。

その行いは、和葉に精神支配を和らげる術をかけていたのだった。


しかし、長年和葉の精神を蝕んできた貴一の『言ノ葉ノ術』は、そう簡単に解けるものではなかった。

早急な解決方法は、発動条件の言葉を見つけることだった。


「どうやら、今の言葉が『言ノ葉ノ術』の発動条件で間違いなさそうだな」

「そう…みたいですね。お父様は、ずっと前から…わたしのことを縛っていたのですね…」
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