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第九章 烈火の記憶
これは、今から約300年も昔の話――。


徳川家が国を治めていた、江戸時代初期。

徳川が天下を取ることができたのは、実は陰である人物の働きがあったからだと噂されていた。


その人物とは、どの軍師よりも的確に戦を読み、必ず勝利をもたらす――。

まるで、神のような力を持っていたと言われている。


その者の名前は、『東雲玻玖』。


まるで蜘蛛の糸のような銀色の短髪。

両耳には耳飾り。

そして、見る者を引きつける翡翠色の瞳。


どこか怪しげで。

しかし、なぜか目を奪われるようなその男は、自らを『呪術師』と名乗っていた。


戦国時代の戦において、呪術師は欠かすことのできない存在であった。


敵兵力を潰す、攻撃呪術に特化した呪術師。

傷ついた味方兵を一瞬にして癒やしてしまう呪術師。
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