【1月書籍化&コミカライズ配信中!】今宵、この口づけで貴方様を――
そう。

この男の言うとおり、人を傷つける『負の呪術』は朝廷から使用禁止と通達されている。


もし、負の呪術を使用していることが知られた場合、その呪術師、並びにその呪術家系は罰を下され、まるで罪人と同じように世間から吊るし上げられるのだ。


そのかわり、正の呪術で人や社会に貢献する功績が認められれば、帝から金一封が贈られる。

神導位の支援金に比べれば少ないが、それでも贅沢な暮らしができるほどの額だ。


『正の呪術で、この国に住む人々の生活をより豊かに』


代々朝廷からはそう提示されているが、実はそれはただの建前。


本当のところは、負の呪術に特化した呪術師が誕生するのを未然に防ぐためだ。


なぜなら、呪術師が本気になって負の呪術で戦を仕掛ければ、帝の軍なんてあっという間に壊滅させられる。
< 41 / 359 >

この作品をシェア

pagetop