【1月書籍化&コミカライズ配信中!】今宵、この口づけで貴方様を――
和葉はキュッと唇を噛みしめ、涙をこらえるのだった。



この黒百合(くろゆり)家に待望の第一子、双子の姉として16年前に生まれた和葉。

妹の乙葉とは双子といっても、顔はあまり似ておらず、見た目も真逆。


黒い絹のような美しく長いストレートの髪を下ろし、淡い色の着物に身を包む和葉。

八重に似た少しクセのある長い髪を頭の高い位置でまとめ、大きな花の髪飾りをつけ、派手な色の着物を好む乙葉。


性格もまるで違う。


和葉は控えめで、疑うことを知らず何事に対しても素直であった。

乙葉はというと、注目を浴びることが好きでわがままばかりだが、そのかわいさゆえすべてが許されてきた。


性格は違えど、2人は両親からの愛情を一身に受けて育ってきた。

――その日がくるまでは。


黒百合家は、先祖代々『呪術(じゅじゅつ)』によって財をなしてきた名家。
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