先輩の一番になりたい
 こんな風に話してる間に、もうすぐ、2年生の男女別クラス対抗『借り物競争』が始まりそうだ。

 アナウンスで、この競技の参加者は集合するように言われている。

 すると、私たちの前をひとりの先輩男子が集合場所へと走って行った。

 ……篠宮先輩だ。

「……」

 前を通った時に、ちらりと視線を感じた。

「……?」

 なんとなくだけど、一瞬、私のほうを見たような……。

(ただ前を通っただけなのに、私、変に意識しちゃってる!? 私のことなんて見るわけないじゃん……)

 私の隣りには、恵奈ちゃんだっているし、近くには同じクラスの他の生徒もいる。 

 私の自意識過剰かもしれない。

 そんな風に思っていると、恵奈ちゃんが口を開いた。

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