【極上溺愛】エリート鬼上司は無垢な彼女のすべてを奪いたい
ほとんど関わることはないけれど、美麗な顔に張り付けられた無表情が冷たい感じがして近寄りがたい。その代わり、社長秘書の深水さんが常にニコニコしているおかげで調和が保たれている気がした。
会社の話をしながら運ばれてきた料理に舌鼓を打つ。やっぱりどれも美味しくて、話も弾んだ。
「そういえば今日は池崎さんたちもチーム飲みだそうですよ」
「そうか」
ははっと白い歯を見せて笑う賢人さんは、飲み会で自分の愚痴を言われることを想像したに違いない。
お互いにライバルでもある営業部のメンバーに仲間意識を持ってもらうため、賢人さんは進んで適役を買って出てる。すなわちオフィスでは鬼の面を被り厳しく接することで部下たちの団結を促し、チーム全体のパフォーマンスを向上させているのだ。
鬼部長、と叫んでいた宮田くんを思い出しながら、ちらりと隣を見上げる。
「うまいな、このホットアップルパイ」
食事のあとに運ばれてきたデザートプレートを嬉しそうに見下ろす賢人さんに、つい笑ってしまう。
「このスパイスアイスの風味もいいし……ん? どうした?」
「いえ、すごいギャップだなって、改めて思って」
本当の彼は優しくて穏やかでよく笑うし、甘いものが大好きで、おまけに――