【極上溺愛】エリート鬼上司は無垢な彼女のすべてを奪いたい
これまでにも何度かそういうことがあった。賢人さんと話すきっかけをなにかしら携えて、声をかけてくる女性たち。
そう、賢人さんは人目を引く。細身のスーツがよく似合う百八十センチの長身にきりっとした眉にほんの少し下がり気味の切れ長の目。売れっ子俳優にも引けを取らない整った顔立ちと全身から発せられる色気のようなものに、たまにふらふらと女性が引き寄せられてくる。隣に私がいてもお構いなしに。
「和花、クリームついてる」
不意に唇に触れられた。賢人さんは私の口を拭った指先をそのまま自身の口もとに運び、ついた生クリームを舐め取る。
そんな仕草に顔が熱くなった。頬を燃やしている私を見て、彼はまたとろけそうな笑みを浮かべる。
「甘い、です」
「うん、そうだな」
「いえ、デザートじゃなくて」
賢人さんが甘い。
会社での姿とは正反対の彼に、私はまだやっぱり慣れてなんかいない。