【極上溺愛】エリート鬼上司は無垢な彼女のすべてを奪いたい
「え、明日」
「これから会議だから急ぎの用件はメッセージで送るように」
ノートPCを持って颯爽とフロアを突っ切るスーツの背中をつい見送ってしまった。
相変わらずの鬼部長っぷり。背後で宮田くんがワナワナと肩を震わせてるであろうことが容易に想像できる。
「ドンマイ、宮田」
営業部内で慰めの声が上がると、宮田くんは水を得た魚のごとく捲し立てる。
「ひどくないっすか鬼部長。明日の昼までって。じゃあ自分で考えてみろっての。どうせ何の案も浮かんでないくせに人の計画には文句並べて」
「まあまあ、落ち着けよ。鬼部長に人の心はないからしょうがない」
先輩に宥められてもぶつぶつ言っている同期の声を背中に聞きながら、私はパソコンのキーを叩いた。出力した書類をクリアファイルに挟み、営業部の島に足を向ける。
「宮田くん、SY社のヒアリングシートと支払先リストです」
「ああ小松。サンキュー」
「あ、小松ちゃん、今日チームで飲み行くんだけど、小松ちゃんもどう?」
踵を返しかけた私に声をかけてきたのは、宮田くんの隣の席の二つ上の先輩、池崎さんだ。
「え、池崎先輩! 俺コレ明日までなんですけど、手伝ってくんないんすか」