【極上溺愛】エリート鬼上司は無垢な彼女のすべてを奪いたい



 並木通りのカフェでお茶をして賢人さんのマンションに移動する頃にはすっかり日が沈んでいた。

 帰りがけにスーパーで買ってきたサンマを焼き、切り干し大根とヒジキで和風サラダを作り、ほうれん草を茹でて胡麻和えにする。おそろいのエプロンをつけた賢人さんはサンマの焼き加減をチェックしながら洗い物をしてくれている。

 築三十年を超える私のアパートと違い、高層マンションの十四階にある賢人さんの部屋はどこもかしこも広々としている。キッチンも例外ではなく、コンロは三口あるしシンクは私のアパートの二倍以上の大きさで、ふたりで並んで作業をしても余裕があった。

「いただきます」

 ダイニングテーブルに向き合って両手を合わせる。こんがりと焼けたサンマに箸を伸ばすと皮がパリッと弾けた。

「うわ、このサンマ美味しい」

「うん、脂がのってるな」

 賢人さんとは食の趣味が合うからデートでは食事をすることが多い。外食をしたり今日みたいに一緒に料理をしたり、それぞれが手料理を振舞うこともある。

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