【極上溺愛】エリート鬼上司は無垢な彼女のすべてを奪いたい
なんでも器用にこなしてしまう賢人さんは料理も上手だ。煮物や和え物といった基本的なものしか作れない私とは異なり、スパイスから調合した本格的なカレーとかブイヤベースとか凝ったものを作るのが好きらしい。
「お昼を食べすぎたから和食にしたのに、結局食べ過ぎちゃった」
食事を終えて洗い物をしながらつぶやいていると、テーブルを片付けていた賢人さんが時計を見ながら言う。
「洗い物はいいよ、あとでやるから。もう遅いし送ってく」
「ありがとうございます。じゃあコレだけ片付けちゃいますね」
賢人さんのマンションには何度か泊まったことがあるけれど、明日は仕事だ。翌日が出社のときはお互いに自宅に帰ることが暗黙の了解になっている。
一通り片づけをして、いつものように帰り支度をした。カーテンを開け放った窓の外は夜の湖面みたいに暗く室内の光景を映しこんでいる。
窓ガラス越しに車のキーへ手を伸ばしたままなにかを考え込んでいる賢人さんが見えて、少しだけ気にかかった。
「お待たせしました」
「あ、ああ」