【極上溺愛】エリート鬼上司は無垢な彼女のすべてを奪いたい
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パソコンの画面から顔を上げると、ちょうど正午を回るところだった。開いていた表計算ソフトを保存してウインドウを閉じてから肩の力を抜く。
営業部門の社員たちがほとんど出払っているせいか、この時間のオフィスは少しだけ静かだ。
賢人さんのマンションから出勤するようになって一週間が経つけれど、今のところ誰かに怪しまれている様子はない。洋服は毎日変えているし、出勤時間もずらしているから当然と言えば当然だ。
もっとも真凛には早々に気づかれてしまった。というのも賢人さんにアパートまで車を出してもらって必要な衣類や日用品を運んだのに、肝心のお弁当箱を忘れてしまったからだ。
普段はお弁当を持参する私が連日宅配弁当やコンビニ食で済ませているのを見て、勘の鋭い彼女はすべてを悟ったらしい。
お弁当箱、新調しようかな。
お昼を都度調達するようになってから、毎回何を食べようか悩むことが面倒になってきた。それでなくても仕事でいっぱいいっぱいなのだから、平日は極力、思考作業を減らしたい。