【極上溺愛】エリート鬼上司は無垢な彼女のすべてを奪いたい
 聞き馴染んだ低い声に心臓がひっくり返りそうになる。おそるおそる振り返ると、ダークグレーのスーツを身にまといビジネスバッグを持った背の高い男性が立っていた。

「け、けん……」

「お、これは冴島さん。こんちは」

 彼を見やり、昴が余裕の笑みを浮かべる。きょとんとしていた賢人さんもすぐに如才ない笑顔を見せた。

「こんにちは。えーとたしか」

「三浦昴です。和花の元カレの」

『元カレ』と強調した昴に、賢人さんは笑顔を崩さないまま答える。

「そうでしたね。今日はどういったご用件で?」

「ただのランチの誘いですよ。御社は部下の昼休憩の取り方に上司が口を挟んだりしないですよね」

「ええ、もちろん」

 営業用のスマイルを貼り付けた賢人さんが腕時計を見下ろしてから私に視線を移す。ぎくりと背筋を伸ばす私に優しく頷きかけ、彼は言った。

「ランチ、いいじゃないか」







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