【極上溺愛】エリート鬼上司は無垢な彼女のすべてを奪いたい

 正直な言葉が胸に引っかかった。それは常々私自身が感じていることだ。

 平凡でどんくさい私が、賢人さんと釣り合っていないことくらいちゃんと自覚している。

「私だって信じられないけど、ちゃんと付き合ってるよ」

「でもさ、会社では秘密にしてるんだろ」

 池崎さんに告白されて困っていたところを昴に助けてもらったことを思い出す。

 あれ以来、池崎さんから誘われることはなくなった。それについては感謝をしているけれど、池崎さんからのアプローチがなくなった代わりに昴に付きまとわれては本末転倒だ。

「社内恋愛なんて周りに気を遣わせるし、彼の立場もあるし。普通は秘密にするものじゃないの?」

「周りが知らないうちにくっついて知らないうちに別れれば、後腐れないしな」

 さらりと言われて言葉に詰まる。

「俺は黙ってられないけどね。だって彼女を同僚に取られたらやだし。それにあの人、和花をあのボロアパートに住まわせたままなんだろ」

 コーヒーのストローをもてあそびながら昴はつまらなそうにつぶやいた。
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