【極上溺愛】エリート鬼上司は無垢な彼女のすべてを奪いたい
「和花が今まで周りにいなかったタイプで物珍しいだけなんじゃん? それかただ放っておけないだけとか。ほら、おまえって庇護欲をそそるタイプだし」
言い返したいのに言葉が浮かばず唇を噛む。痛いところばかり突かれて胸が重苦しい。たしかに、私はいつも賢人さんに守られてばかりいる。
「そんなのさ、お互いが好きで付き合ってる対等な関係とはいえなくないか? だいたいどういう経緯で付き合うことになったわけ」
「それは……」
ただの会社の上司に過ぎなかった賢人さんと付き合うことになったきっかけは去年のクリスマスだ。鬼と呼ばれるほど厳しい人だと思い込んでいた彼が、ひょんなことからとても心優しい人だとわかって、自然と惹かれていった。
彼のほうも会社では気を張っている私の素の姿を見てギャップにやられたと言ってくれた。
数ヶ月前の出来事を思い起こしていたら、賢人さんの苦い表情が思い浮かんだ。
そういえば『君を見ていると心配になる』とも言われたな……。
口を噤む私に、昴は「ほらみろ」と得意げだ。