【極上溺愛】エリート鬼上司は無垢な彼女のすべてを奪いたい
ぽっかり浮かんだ満月を眺めるウサギと風になびくススキ。
頭に浮かんだ映像の一番手前には、ピラミッド型に積まれたお団子が鎮座している。
「あーお腹空いた」
我ながら月より団子だ。
苦笑しながら駅に流れていくビジネスマンと一緒に広い歩道の端をのんびり歩く。
約束の時間まであと三十分もあるし、隣駅まで歩こうかな。
そう思いつつ、通りがかったコンビニにふらっと立ち寄り、引き寄せられるようにスイーツコーナーに向かった。
「わぁ、秋の新作」
ホイップどらやきに白玉クリームぜんざい、かぼちゃのチーズケーキにシュークリーム。甘いものがたくさん並んだ棚は眺めているだけで幸せな気持ちになる。
かぼちゃも好きだけど、まずは栗のロールケーキかな。
手を伸ばしかけたところではたと思いとどまる。
これからレストランで食事だし、きっと食後のデザートも食べるはずだ。
「我慢、我慢」
ここ数年、コンビニスイーツの水準が上がって手軽に美味しいものが購入できるようになった。そのせいでつい財布の紐とウエストが緩んでしまいそうになる。