【極上溺愛】エリート鬼上司は無垢な彼女のすべてを奪いたい
「か、帰りましょうか。えっと、今日は私、アパートに……」
「いや、帰ろう、うちに」
するりと伸びてきた指に、右手を絡めとられる。
「冷たくなってるな」
繋いだ手を口もとに持っていき私の手に唇をつけると、温めるように息を吹きかけた。
いつもだったら胸がときめくそんな仕草が、今は苦い。
どうして?
そんなふうに愛情を示してくれるのに、一緒に暮らすことはできないの?
その後、賢人さんはいろいろと話しかけてくれたけれど、私はほとんどうわの空だった。
胸いっぱいに高ぶっていた気持ちがそっくりそのまま溶け落ちて、からっぽの体が無機質なロボットみたいに機械的に動いているだけだった。