学校公認カップルの痴話喧嘩に遭遇してしまった。
おいそこの、私と同じ5段を跳べない奴らは笑うんじゃない。
同類だろうが。
しかし彼女達が5段を失敗しても「かわいいー」と微笑ましく応援されているのは、腑に落ちん。
いや、理由はわかってる。
私の顔がお世辞にも可愛くないからだ。
言ってて悲しくなった。
時は過ぎ、放課後。
恐れていたことが起きてしまった。
東銀雅を待つという彩金に教室で別れを告げ、下駄箱でローファーに履き替えた時。
「ちょっといい?」
声をかけられ、顔を上げると、私を取り囲む女子集団。
カースト上位の彼女達の圧は、カースト最下位の私を従わせるにオーバーキルだった。
「………ぅ、ぁ、はい………」
緊張でガチガチになりながら足を動かす。
脳内にドナドナが流れ始めた。
案外頭は冷静なのかも知れない。
囲まれたまま連行されて、人の通らない校舎裏に来た時。
「うっ……」
襟首を掴まれ、壁に押し付けられた。
他の女子は逃げ場を塞ぐように立つ。