コーヒーには、ミルクと砂糖をたっぷりと
美紅がドアを開けると、カランコロンとドアに取り付けられたベルが可愛らしい音を立てた。その音に癒されつつ、美紅はカフェOliveの中をグルリと見回す。

「わぁ……!」

木造のテーブルや椅子が並べられた店内には、至る所に観葉植物などが置かれており、まるで森の中で一休みしているような気分を楽しめそうだ。木造の背の高い本棚には様々なジャンルの小説が並べられ、ハンモックやおしゃれなランプもオブジェとして飾られている。

「素敵」

美紅がそう呟くように言うと、「そう言っていただけて、とても嬉しいです」と声が降ってきた。振り返ると、そこにはエプロンをつけた男性が立っている。ミルクティーブラウンのレイヤーショートヘアに垂れ目、芸能人かと疑ってしまうほど華やかな顔立ちの男性が現れ、美紅は驚いて言葉を失ってしまう。

「やだ、すごいイケメン……」

美紅の後にカフェの中に入った菫が頰を赤く染めながら言い、同じ性別であるはずの匠も無言で首を縦に振っている。そんな中、男性が陽介に訊ねた。
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