コーヒーには、ミルクと砂糖をたっぷりと

歩きながら美紅は素早く後ろを振り返る。その時、暗闇の中に人影がいるのが見えた。人影は素早く電柱の陰に隠れる。

（私、誰かにつけられてる！？）

恐怖が一気に込み上げてくる。美紅は慌ててマンションまで走り、部屋に入ると急いで鍵とチェーンをかけた。息が上がり、その場に力なく座り込んでしまう。

「何だったの、さっきの……」

美紅の手が、小刻みに震えた。



それからである。美紅は道を歩けば誰かに後をつけられるようになり、マンションの部屋のポストを荒らされたりするようになった。所謂ストーカーである。そして、美紅のストーカーがしたのは付き纏いだけではなかった。

大学で美紅は菫とお昼を食べていた。大学にいる間は追われることがないため、安心して美紅はサンドイッチを頬張る。その時だった。

ピロン、と美紅の持っているスマホが音を立てる。何だろうと美紅はスマホを開ける。メールが届いていた。

「ひっ！」