無能者だからと離縁された私は、「野獣王」の生贄妻となりました~じつは無能ではない私。あらたな旦那様の「真実の声」が可愛すぎて幸せ満喫中。クズな元夫と義姉は絶対に許せないので破滅してもらいます~
「道を開けなさい」

 彼女は、わたしより数段下のところで立ち止まってわたしを見上げた。

「わたしが皇帝の正妃よ。わたしこそが、その座にふさわしい。無能で醜いおまえではなく、ね。無礼者っ、はやくそこをどけ」

 ガラのあまりよくない義姉に怒鳴られ、慌てて横にずれた。

 大人が三人並んでも上がれるほどのスペースが出来ている。

「このクズッ! はやく消えて」

 そのささやきとともに、義姉はわざとわたしに近づいてきて左腕を伸ばしてきた。派手なマニキュアが施されている爪がわたしの右腕に食い込んだ。
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