無能者だからと離縁された私は、「野獣王」の生贄妻となりました~じつは無能ではない私。あらたな旦那様の「真実の声」が可愛すぎて幸せ満喫中。クズな元夫と義姉は絶対に許せないので破滅してもらいます~

自分自身の変化

 いまはもうヴィクターと執務室で会うときに待たされることはない。

 待たされたのは、ここに来て初めてのときだけだった。あのときは、控えの間ひとりで待っていて不安や恐怖でどうにかなりそうだった。

 いつものようにそのまま控えの間を素通りし、扉をノックして入室の許可と同時に中に入った。

 ヴィクターは、執務机の向こうであいかわらず強面巨躯に不愛想と不機嫌さを漂わせている。
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