無能者だからと離縁された私は、「野獣王」の生贄妻となりました~じつは無能ではない私。あらたな旦那様の「真実の声」が可愛すぎて幸せ満喫中。クズな元夫と義姉は絶対に許せないので破滅してもらいます~
(『おれと子どもたちの為』ですって? 彼の気持ちは、もうそんなところまで突っ走っているの?)

 正直、彼の暴走に追いつけそうにない。

「ヴィクター様、ありがとうございます。つぎのリクエストがあったら教えて下さいね」

 彼の暴走はともかく、口に出して「まぁまぁ」と言ってくれたことには礼を述べておかないと。

「リクエスト?」

 彼は、ルビー色の瞳をよそに向けた。

「もしも、もしもだ。もしもあったらな」

 それから、ぶっきらぼうに言った。
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