無能者だからと離縁された私は、「野獣王」の生贄妻となりました~じつは無能ではない私。あらたな旦那様の「真実の声」が可愛すぎて幸せ満喫中。クズな元夫と義姉は絶対に許せないので破滅してもらいます~
(だけど、正直なところ必要ないのだけれど。自分のことは自分で出来るし、いまだってそれで不便なくすごしているから。それに、レディどうしの煩わしさがないから気がラクなのよね)

 皇宮では、侍女たちはだれかに飼われていた。

 ダメね。飼われていたなどという表現は。

 雇われて、という方が適切かしら?

 とにかく、みんな正規の雇い主である皇帝以外のだれかにこっそり雇われていた。彼女たちは情報を収集したり、ときには小細工をしたりしていた。

 つまり、だれも信じることが出来なかった。油断がならなかった。

 つねに言動に注意しなければならなかった。それこそ、寝言も言えなかった。

 そんな思いはもうたくさん。
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