無能者だからと離縁された私は、「野獣王」の生贄妻となりました~じつは無能ではない私。あらたな旦那様の「真実の声」が可愛すぎて幸せ満喫中。クズな元夫と義姉は絶対に許せないので破滅してもらいます~
(国境ということは、オーディントン国に向っているのね。それで、この馬車は?)

 馬車内を見渡してみた。

 窓外は真っ暗で、木々が黒い影となってつぎからつぎへと流れていく。

(この馬車は、雇われたか何かかしら? わたし、この馬車でオーディントン国に運ばれているのね)

 そう結論付けた。

 義姉に階段からひっぱり下ろされ、気を失ったわたしを雇った馬車に放り込み、隣国へ運ぶ。

 これらは、ひどい話に違いない。

 だけど、どうでもよかった。

 なにせ自由になれたのだから。
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