無能者だからと離縁された私は、「野獣王」の生贄妻となりました~じつは無能ではない私。あらたな旦那様の「真実の声」が可愛すぎて幸せ満喫中。クズな元夫と義姉は絶対に許せないので破滅してもらいます~
わたしは、そんなところに生贄に行くわけで……。
(大丈夫なの、わたし? ヘラヘラ笑いが彼らに通用するかしら?)
自分自身に問うたとき、馬車が停止した。
「さっさと降りろ。奴らが近づいてくる。殺されるのはごめんだ」
馭者が扉を開け、わたしの腕をつかんだ。
激痛が全身を駆ける。
悲鳴はガマンした。
小柄な初老の馭者のうしろに、いくつもの騎影が見えたからである。
みっともないことはしたくないし、きかせたくない。
わたしは、月明かりのまったくない闇夜にオーディントン国に引き渡された。
生贄として、祖国ウオーターズ帝国から永遠に去ることになったのだ。
(大丈夫なの、わたし? ヘラヘラ笑いが彼らに通用するかしら?)
自分自身に問うたとき、馬車が停止した。
「さっさと降りろ。奴らが近づいてくる。殺されるのはごめんだ」
馭者が扉を開け、わたしの腕をつかんだ。
激痛が全身を駆ける。
悲鳴はガマンした。
小柄な初老の馭者のうしろに、いくつもの騎影が見えたからである。
みっともないことはしたくないし、きかせたくない。
わたしは、月明かりのまったくない闇夜にオーディントン国に引き渡された。
生贄として、祖国ウオーターズ帝国から永遠に去ることになったのだ。