無能者だからと離縁された私は、「野獣王」の生贄妻となりました~じつは無能ではない私。あらたな旦那様の「真実の声」が可愛すぎて幸せ満喫中。クズな元夫と義姉は絶対に許せないので破滅してもらいます~

オーディントン国軍に引き渡される

 馬車は、先程までと同じように森の中を走り続けている。

 先程までと違うのは、馬車の豪華さ。迎えに来てくれた馬車は、祖国ウォーターズ帝国の皇族の馬車よりもずっとずっと立派である。派手ではない。どちらかといえば地味である。

 馬車に乗る前、馬車に二頭の狼の紋章が刻印されていることに気がついた。

 それがオーディントン国の王族の紋章に違いない。

 馬車を囲むようにして、騎馬兵たちが走っている。

 複数の騎馬の息遣いがきこえてくる。それが、月明かりのない薄暗さを強調している。

 先程までと違うことはまだある。
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