無能者だからと離縁された私は、「野獣王」の生贄妻となりました~じつは無能ではない私。あらたな旦那様の「真実の声」が可愛すぎて幸せ満喫中。クズな元夫と義姉は絶対に許せないので破滅してもらいます~
 彼らは、口に出しては「無礼にもほどがある」、「陛下にとってレディは特別な存在」、そう言って双子姉妹を非難した。が、彼らの「真の声」は、双子姉妹を愛しているからこそやめさせたがっている。当然、双子姉妹は口に出しては彼らに反論する。が、彼女たちの「真実の声」はパーシーとチャーリーを愛し、もろもろの無茶苦茶なことをやめたがっている。

 その双子どうしの口論に終止符を打ったのは、ヴィクターだった。

「レディはおれの客人だ。きみらがここに居座り、好き勝手するのは自由だ。だが、客人になにかあったら、けっして許さん。そのことだけは肝に銘じておけ。もっとも、客人に指一本触れることは出来んだろうがな。おれがついているのだから」

 彼は、たったそれだけ忠告した。

 ゾッとするほど低く鋭いその忠告は、双子姉妹の肝を十二分に冷やしたに違いない。

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