無能者だからと離縁された私は、「野獣王」の生贄妻となりました~じつは無能ではない私。あらたな旦那様の「真実の声」が可愛すぎて幸せ満喫中。クズな元夫と義姉は絶対に許せないので破滅してもらいます~
「あの、わたしはサエです。サエ・アンダーソンです」

 彼女たちが扉から出ようとしたタイミングで、自信に満ち溢れたふたつの背中に名乗った。

 どうせ無視されるだろうと思いつつ。

 たとえ彼女たちがわたしに危害をくわえようとしているのだとしても、一応自己紹介はしておきたかった。

 が、予想に反して彼女たちはいっせいに振り返った。それから、こちらに戻ってきた。
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