無能者だからと離縁された私は、「野獣王」の生贄妻となりました~じつは無能ではない私。あらたな旦那様の「真実の声」が可愛すぎて幸せ満喫中。クズな元夫と義姉は絶対に許せないので破滅してもらいます~

苦行

 駐屯地を出発してどの位経ったのかしら?

 そうね。もう夕方になっている頃? 体感的には、そのくらいに感じられる。

 思い浮かぶ三つの言葉さえ口から出そうにないのに、息だけが「ハッハッ」とこぼれ落ちていく。

 額だけでなく、背中や脇や腹部や太腿など頭の先から爪先まで全身汗まみれになっている。

 その大量の汗が流れ落ちていく。顔を、背中を、胸を、お腹を、足を、伝っていく。それがまた気持ち悪い。
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