無能者だからと離縁された私は、「野獣王」の生贄妻となりました~じつは無能ではない私。あらたな旦那様の「真実の声」が可愛すぎて幸せ満喫中。クズな元夫と義姉は絶対に許せないので破滅してもらいます~
(どうして? なぜなの? こんな試練信じられない。わたしがなにをしたっていうの? 現世で、あるいは前世でこんな目にあわなければいけない、なにか悪いことをしたというの?)

 ふだんならけっして思いつかないようなネガティブなことまで考えてしまう。

 その間にも、汗はとめどなく流れ落ち続けている。額から落ちた汗が目に染みる。

 体裁などかまっていられない。その都度、何重にも折りまくった袖で額の汗を拭う。

 軍服を借りている。男性兵士用のである。ほんとうにすぐのことだったので、自分のサイズに手直しする暇があるわけがない。だから袖と裾を何重にも折りまくったのである。
 正規の軍服のベルトは、わたしにあわなかった。だから、ウエストは紐を見繕ってきてそれで縛らなければならなかった。

 とにかく、すべてが大きすぎた。だけど、なんとか体裁を整えることが出来た。
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