無能者だからと離縁された私は、「野獣王」の生贄妻となりました~じつは無能ではない私。あらたな旦那様の「真実の声」が可愛すぎて幸せ満喫中。クズな元夫と義姉は絶対に許せないので破滅してもらいます~
「腹が減っていませんか? 布巾を取ってみて下さい。食っていただいていいですよ」

 向こう側の彼に勧められ、お尻をずらして近づくと布巾を取ってみた。

 馬車内には、いまや月光溢れている。

 その光の中、バスケットの中に白パンと砂糖パンと堅パン、葡萄酒の瓶、水の入っている瓶、数種類のチーズ、四種類のフルーツが入っているのが見えた。

「まぁっ!」

 驚いた瞬間、「グルルルルル」とお腹の虫が盛大に騒ぎ始めた。
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