無能者だからと離縁された私は、「野獣王」の生贄妻となりました~じつは無能ではない私。あらたな旦那様の「真実の声」が可愛すぎて幸せ満喫中。クズな元夫と義姉は絶対に許せないので破滅してもらいます~
「それで? そんなことの為にわざわざおしかけてきたわけ? そんなに彼女のことが大切なら、いますぐにでも婚儀を執り行い、全国民に発表すればいいでしょう? そうすれば、とりあえずは彼女が狙われるという問題は片付くのだし。彼女の願いについては、それも国王として両公爵家に強く命じれば済む話でしょう? 両公爵家もいまとなってはいがみ合う理由さえわかっていないのだし。そろそろ悪しき慣習をかえていくのもいいんじゃない? 力があれば国王になれる、みたいな話のことだけど。いまどき流行らないわよ。大昔の戦乱の時期ならともかくね。書物でさえそのような成り上がり的な筋書き、読者はよろこばないはずよ。この際、あなたがいっさいをかえてみたら? もちろん、国民に迷惑をかけず、混乱を招かない程度にだけど。まったくもう。あなたって図体と強面のイメージのわりには、気弱なんだから」

 キャロルは、一方的にまくしたてた。一方、ヴィクターは黙り込んでいる。
< 289 / 375 >

この作品をシェア

pagetop