無能者だからと離縁された私は、「野獣王」の生贄妻となりました~じつは無能ではない私。あらたな旦那様の「真実の声」が可愛すぎて幸せ満喫中。クズな元夫と義姉は絶対に許せないので破滅してもらいます~
(でも、たしかにヴィクターを安心させる為には「大丈夫」を強調するしかないわよね)

 そんなことを考えていると、ヴィクターがわたしを見下ろしていることに気がついた。

 そのルビー色の瞳がいつもとは違い、穏やかであることに気がついた。

「チビでひ弱な彼女が剣を扱えるとは思えんがな。あの二人は、まがりなりにもレッドグレイブ公爵家の令嬢だ。噂では、家伝の暗殺術を身につけているらしい。その必殺の剣技は、対峙すればおれでさえヤバいものらしい」

(えっ? そうなの? あの二人、そんなにすごい技を持っているの? というか、ヴィクター様。ここでわたしを怖がらせてどうするつもりなのですか?)

 怖いことばかり言うヴィクターをツッコんでしまう。もちろん、心の中でだけれども。

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