無能者だからと離縁された私は、「野獣王」の生贄妻となりました~じつは無能ではない私。あらたな旦那様の「真実の声」が可愛すぎて幸せ満喫中。クズな元夫と義姉は絶対に許せないので破滅してもらいます~
 そんなことはどうでもいい。いよいろ、試合場のひとつで双子の姉妹と対峙した。

 彼女たちは、いつものように大剣を手に握っている。対するわたしたちは、キャロルが大剣でわたしが細身の剣レイピア。しかし、わたしたちはそれぞれの剣をまだにいておらず、左腰の鞘に納めたままである。

「よろしくお願いします」

 一応、一礼した。

 神聖な儀式であるかのように。

「キャッ!」

 頭を上げた瞬間、彼女たちがすぐ前まで迫っていた。どちらもすでに大剣を振り上げている。

 叫び声とともに、うしろへ飛び退った。

 空を切った大剣が、 いままでわたしが立っていた位置の床にぶち当たった。
< 312 / 375 >

この作品をシェア

pagetop