無能者だからと離縁された私は、「野獣王」の生贄妻となりました~じつは無能ではない私。あらたな旦那様の「真実の声」が可愛すぎて幸せ満喫中。クズな元夫と義姉は絶対に許せないので破滅してもらいます~
「あの、自覚がないのです。わたしはずっとヘラヘラ笑っているよう命じられ、それを実践してきただけです。力を解放するとか護っているとか、そういう自覚はいっさいないのです」
「だろうな。力を解放とか発揮するとかではなく、きみ自身がその力なのかもな。つまり、きみの存在そのものが力だ。きみがそこにいることで護られ、幸運に見舞われるわけだ」

 ヴィクター様の説明は、これが他のだれかのことだったら信じられる。だけど、わたしのことだとにわかには信じられない。

「サエ、あなたほんとうに鈍感なのね。そこまで鈍感だとかえって清々しいわ。まぁそんなあなただからこそ、これほどの威力があるのかもしれないわね。それで、どうするの?」

 キャロルが褒めてくれた。
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