無能者だからと離縁された私は、「野獣王」の生贄妻となりました~じつは無能ではない私。あらたな旦那様の「真実の声」が可愛すぎて幸せ満喫中。クズな元夫と義姉は絶対に許せないので破滅してもらいます~
 せめてもの感謝のしるしに明るく振る舞おうとするけれど、どうしても出来ない。外見とは違って繊細なヴィクターは、すぐにそれを察知してしまう。彼の心の中は、いつもオロオロしている。わたしをどう扱っていいのかわからないから、不安で不安でたまらない状態である。

 彼は、まるで少年のようにわたしのことで動揺しまくっている。

 不謹慎だけれど、そんな彼にますます愛おしさが募っていくのを感じる。

 しかし、それにストップをかけてしまうもうひとりの自分がいる。
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