無能者だからと離縁された私は、「野獣王」の生贄妻となりました~じつは無能ではない私。あらたな旦那様の「真実の声」が可愛すぎて幸せ満喫中。クズな元夫と義姉は絶対に許せないので破滅してもらいます~

古城

「レディ、レディ」

 呼ばれたような気がした。

 ハッと目が覚めた。

 座席の上に横になって眠ってしまっていた。

「レディ、到着しましたよ」

 パーシーが窓から覗き込んで知らせてくれた。

「サエ、です。サエ・アンダーソンです」

 先程、彼らのお茶目ないたずらのことで自分が名乗っていなかったことに気がついた。

「いい名ですね」

 パーシーは、にんまり笑った。

 馬車が停車した。
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