無能者だからと離縁された私は、「野獣王」の生贄妻となりました~じつは無能ではない私。あらたな旦那様の「真実の声」が可愛すぎて幸せ満喫中。クズな元夫と義姉は絶対に許せないので破滅してもらいます~
「言うな」

 だけど、国王はそれを右手を上げて制した。

 その手は大きく、すごく分厚いことが執務室内の淡い灯りの中よくうかがえた。

「ふんっ! ウォーターズ帝国の皇帝は、やはりおれをバカにしているのだ。オーディントン国の国王は、しょせん悪党の末裔だとな。あるいは、血に飢えた野獣だと。このレディは、傷物ではないか。傷物を一方的におしつけてきたというわけだ」
「陛下、傷物などという表現はよくありません」
「そうですよ。彼女は傷物などではありません」

 わたしのことを鼻を鳴らして誹謗中傷する国王に、チャーリーとパーシーが噛みつかんばかりに抗議してくれた。
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