無能者だからと離縁された私は、「野獣王」の生贄妻となりました~じつは無能ではない私。あらたな旦那様の「真実の声」が可愛すぎて幸せ満喫中。クズな元夫と義姉は絶対に許せないので破滅してもらいます~
 よく眠れた。

 とにかく、心も体も頭もスッキリしている。

 天蓋に両腕を突き上げ、伸びをしてから寝台から降り、ガラス扉に近づいた。

 扉をおもいっきり開けると、陽のにおいとバラのにおいに包まれた。

 どちらもわたしの大好きなにおい。ちなみに、草のにおいも大好き。

 皇宮にいたとき、よく皇宮内の森や庭園を散策した。それがいい気晴らしになっていたことは言うまでもない。

 ガラス扉の向こうはテラスになっていて、真鍮製の丸テーブルと椅子が二脚置いてある。

 テラスに出て手すりに両肘をつき、景色を眺めてみた。

 階下はさほど大きくはない庭で、バラが咲き誇っている。
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