お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する

謝れば許してくれる。
怒らせなければ、優しくていい人。


そんな上辺だけの言葉で彼を正当化し、今日も成希から目を逸らしている。


もう私の心は、とっくに成希から離れているというのに――



「じゃあ、ここで。またね、成希」

「おい、冬音」

「え、――んッ」



人前であろうと、どこだろうと。
場所を選ばず、手段を選ばず。
自分のしたい事をする成希。


そんな成希と、私は今日も、不快な口づけを重ねる。


だけど、その時。



「ッ!」



キスの最中。
どこか見覚えのある人影が見えた。

それが誰か分からず、スッと消えていなくなってしまったけど……。



あれは一体、誰だったんだろう――



「相変わらず、キスが下手くそだな」

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