愛毒が溶けたら
「釈、放……っ」
成希は釈放され、今は自由の身。
いつどこで会うか分からないし、また何をされるか――
「……っ」
ガタリ。今度こそ、私はその場に崩れ落ちてしまった――かのように、思えた。
だけど、
「すみません、体調不良の市民がいます」
「!」
両手が地面に着く前に。私の肩を、守人さんが抱き寄せた。
浅い呼吸を繰り返す私に、「大丈夫だよ」と――私の肩を抱く手に、更に力を込める。
「あ……。調子が悪いですか? 救急車?」
「だい、じょ……ですっ」
交代のお巡りさんに遠慮がちに聞かれ、やっとの事で絞り出した声は……、みっともないほど震えていた。
「冬音ちゃん、大丈夫?」
「~っ」
こんな自分を誰にも見られたくなくて、とっさに守人さんの胸に飛び込む。
その時、固い防弾チョッキが、カタッと顔に当たった。だけど成希が釈放されたと聞いた時の胸の痛みに比べたら……痛くもなんともない。
成希は釈放され、今は自由の身。
いつどこで会うか分からないし、また何をされるか――
「……っ」
ガタリ。今度こそ、私はその場に崩れ落ちてしまった――かのように、思えた。
だけど、
「すみません、体調不良の市民がいます」
「!」
両手が地面に着く前に。私の肩を、守人さんが抱き寄せた。
浅い呼吸を繰り返す私に、「大丈夫だよ」と――私の肩を抱く手に、更に力を込める。
「あ……。調子が悪いですか? 救急車?」
「だい、じょ……ですっ」
交代のお巡りさんに遠慮がちに聞かれ、やっとの事で絞り出した声は……、みっともないほど震えていた。
「冬音ちゃん、大丈夫?」
「~っ」
こんな自分を誰にも見られたくなくて、とっさに守人さんの胸に飛び込む。
その時、固い防弾チョッキが、カタッと顔に当たった。だけど成希が釈放されたと聞いた時の胸の痛みに比べたら……痛くもなんともない。