愛毒が溶けたら
「これからは……ちゃんと、気をつけます。

今日は、その……ウソついて家を出てきちゃったので、帰ってきちんと謝ります」

「私たちも、日を改め謝罪に伺います。今日は、一葉がお家まで送りますので」

「……え?」


見ると、いつの間にか守人さんは着替えていた。制服じゃない、私服姿。

ぴちっとした黒いズボンに、上は暖かそうな薄いブラウンのセーター。そして長い足を隠す、長いコート。

それがとても良く似合っていて……思わず、顔を逸らしてしまう。


「じゃあ行こうか、冬音ちゃん……って、顔が赤いよ? 大丈夫?」

「な、なんでもありません……っ」


私服同士で歩くなんて、こんなの、まるで……デート!

柴さんにお礼を言って、これから勤務のお巡りさんたちに挨拶をして……私と守人さんは、並んで歩く。
< 109 / 398 >

この作品をシェア

pagetop