愛毒が溶けたら
何を話そうか。それとも、何も話さない方がいいのか――
そんな事を、頭の中でグルグルと考えていた時。守人さんが「そうだ」と、私に手を出した。
「ん?」
この状況。前にも、あった気が……。
そう、成希が連れて行かれた時。座りこむ私に、守人さんが手を伸ばしてくれた時があった。
――これは、掴まれ……って事なのかな?
あの時は「掴まって」って意味だった。
じゃあ、今も?
「……えいっ」
ソッと手を置こうとしたら失敗して、勢いよく守人さんの手を握ってしまう。
ギュッ
「やってしまった!」と顔を赤くする私。だけど私の横で守人さんは、もっと赤い顔をした。