愛毒が溶けたら
「ごめん、冬音ちゃん……そうじゃなくて」

「え」

「お母さんに電話を繋いでくれる?って、そう言おうとしたんだ」


私とは反対の方を見ながら、モジモジと喋る守人さん。

っていうか……え⁉

手を繋ぐってことじゃなかったの⁉



「す、すみません! お、おか、お母さんにですね、――はい!」


お母さんの電話番号をタップして、守人さんに渡す。

守人さんは、まだ赤い顔で「はい」とスマホを受け取った。いや、受け取ろうとした、だけど――


「!」
「ひゃっ」


私の手と、守人さんの手が当たってしまう。ほんの一瞬、ただの一瞬。コツンと当たっただけなのに、変に反応しちゃった……!
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