愛毒が溶けたら



――早く逃げろ



この人から、逃げないといけないんだ。



「やめて、……成希!!」



その時だった。



「こんばんは~。ちょっといいですか?」



暗闇を照らす、眩しい光。

それを持つのは、青い服を着た、街中でよく見かける帽子を被った人。

あれは……



「この辺を見回りしている警察でーす。
お兄さん、ちょおっとお話を聞いてもいいかなぁ?」

「は? 警察……?」



成希は、瞬時に私から退けた。

成希によって無理やり立たされていたようなものだった私は、力なく地面に滑り落ちる。



「お兄さん今さぁ、何してた?」

「俺は、何も……!」

「何もって事は無いでしょー? 夕方に一緒にいるんだから、カップルじゃないの~?」

「あ、そうだよ! カップル! 俺らカップルだ!」



な、冬音!――と必死な顔で、私を見る成希。

私は体を震わせながら、なんとか答えようとした。
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