お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する
◇
「はぁ……」
週明けの月曜日。何とか一日が終わって、今は放課後。俺は三石の制止を振り切って、帰路についていた。
――勇運くん!
金曜日に、三石の弟と会って以降。近づいていた二人の距離が、遠く離れた。
弟を見た瞬間に逃げたこと。
あの時の態度がおかしかったこと。
全て見なかった事にしてほしくて「俺のことは気にするな」と言ったが……どうやら、裏目に出たみたいだった。
――勇運くん、話を!
今日一日、三石に何度話しかけられたか分からない。そして、俺が何度避けたかも。
俺がスルリと三石をかわした時の、傷ついたアイツの顔が……頭から離れない。
「はぁ……。器が小さくて、自分が嫌になるな」