お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する

「にしても、ねーちゃん遅いなぁ」

「!」


そうだ、そうだよ。なんで弟だけでウロウロしてんだ。

ねーちゃんって言ったな? つまり、三石と一緒だったって事だ。

その三石本人は、どこに行ったんだ?


「お前……、一人、か……?」


顔を合わせないまま、目を見ないまま。

息も絶え絶えになりながら、なんとか尋ねる。口を開けたら気持ち悪くなりそうだけど……そんな事も言ってられない。


「一人じゃないよー。さっきまでねーちゃんがいたんだ。けど、車に乗った友達と話をするからって、」

「……は?」


高校生なのに“車”に乗った友達? 不自然すぎるだろ。

……おい、まさか。
< 157 / 398 >

この作品をシェア

pagetop