お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する
プルル――


『はい、こちら陽の丘交番です』


その声を聞いて、少しだけホッと安心出来た。だけど、緩めた気をすぐに戻す。

何があったか詳細をきちんと話せるよう――深呼吸をして、体に空気を入れた。


「兄貴、連れ去りだ。
連れ去られたのは、三石冬音」

『勇運? どういう事。どうして冬音ちゃんが、誰に!?』

「それは、」


と、ここまで話した時。
俺のスマホに、変な音が入った。

それは――


プププ、プププ


これ、何の音だ?
滅多に聞かない音だ。
充電が切れそうって事か?


「くそ、こんな時に!」


イライラしながら、スマホを耳から外す。そしてすぐに右上にある充電マークに目をやった。だけど、ほぼ満充電。

だとしたら、さっきの音は――
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